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映画『それいけ!アンパンマン ドロリンとバケ〜るカーニバル』を見た話

アンパンマンの映画『それいけ!アンパンマン ドロリンとバケ〜るカーニバル』を見に行った。

アンパンマンの映画としては33作目。公開初日の6/24には、ゲスト出演している北川景子が1日中テレビで番宣していたのが印象的だった。僕個人としても、アンパンマンの映画を劇場で見るのは初めてで、とても楽しみにしていた。

映画はサマーライブ風の歌って踊れるパートから始まり、バイキンマンが登場して早速会場をメチャクチャにする。そこへオープニング曲と共にアンパンマンが登場し、アンパンチでバイキンマンを一蹴することから始まる。これは映画館で子供の心を掴むためのお決まりパートだそうだ。ここで声を出して応援したり、一緒に踊ったりしても良いらしいが、我々親子含めて4組ほどしかいなかったため、大変静かだった。

オープニングが終わり、さっそく本編が始まる。オバケの街・オバケタウンで開催されるバケールカーニバルというお祭りに招待されたアンパンマン達は、そこで変身やアトラクションなどオバケたちのパフォーマンスを楽しんでいる。ところが、本映画の主人公で変身が苦手なオバケの男の子・ドロリンは、このお祭りを楽しむことができず、イタズラをして逆に怒られてしまう。落ち込んでいたドロリンと、アンパンマンたちと逸れてしまったクリームパンダが出会い、世界一の変身パワーを秘めたマント、まっくろマントを探しに出かける。そこにバイキンマンが現れ、まっくろマントを使って大暴れする、というストーリーだ。

ドロリンとクリームパンダは、まっくろマントを探す途中何度も喧嘩をするが、双方の主張が真っ向からぶつかってしまうところにアンパンマンの世界観がよく現れていると思った。変身がうまくできるようになりたい、そのためには手段を選ばないし、困っている人がいても関係ないとい自分のために行動するドロリンと、困っている人は助けるのが当たり前、誰かの笑顔にするために自分が犠牲になるのは当たり前というクリームパンダがぶつかってしまう。そこにホラーマンやマンパンマンといった、この世界の中では大人に分類される人たちによって、自分のためでなく誰かを笑顔にするために行動することの素晴らしさ懇々と説明されて、背中で語られて、ドロリンの心が変わっていく。僕自身、誰かの笑顔のために行動したいと思って日々の生活ができているだろうか。思わず自問自答してしまうパートであった。また、アンパンマンの世界は、自己犠牲を払える人にとっては、皆が笑顔で楽しく暮らすことができる一方で、自分本位の考えを持ってしまうと大変生きにくい世界なのかもしれないとふと思った。

我々の住む現実世界でも、困っている人を助けるのは当たり前である。一方で、自分が助けなくても誰かが助けるし世の中は回る。そうして見て見ぬ振りをしても、大ごとになることは少ない。誰かのために自己犠牲を払い、自分自身が疲弊したり面倒ごとに巻き込まれてしまうことだってあるだろう。では何が正義なのだろうか。少なくともアンパンマンが大好きな子供には、誰かを笑顔にするために行動できるようになってほしい。それで自身が傷付くような面倒ごとに巻き込まれてしまったら、そっと手助けできる大人になりたいと思う。