裏紙に書くようなこと

文章を書く練習

子供が公園で歩いた話

子供がもうすぐ1歳になろうとしている。自力で歩けるようになったのは新型コロナウィルスに伴う緊急事態宣言の真っ只中の頃で、ずっと家に引きこもる日が続いたのが良かったのか悪かったのか、今では家の中を縦横無尽に歩き回っている。そんな子供も、外で靴を履いて歩き回ることができなかった。環境の違いに戸惑っているようだった。それはまだ外の世界に慣れていないのか、個性として怖がりなのか、理由はよくわからないけど、とにかく外に出ると1歩目が出せないようだった。

そんな中、僕と子供と2人で散歩をする日があった。急に気温が下がり始めた晴れた日だったが、セミの声は最盛期と変わらず響いていた。行ったことのない公園の、遊具も何もない土の広場に着き、子供に靴を履かせてベビーカーから降ろした。いつものように戸惑いながら泣く我が子。普段なら僕はここで諦めて、ベビーカーに戻すのだが、この日は特に行く場所もなく、いつもよりも涼しかったので、子供が自力で歩くまで粘ることにした。

子供を抱っこして少し歩き、降ろしては泣かれを繰り返しているうちに、子供が自力で立つようになった。次にベビーカーからぶら下がっている虫除けで遊び始めた。そこで少し離れた場所から子供を呼んでみると、嬉しそうな顔をして歩いてきた。その歩数は5歩くらいだっただろうか。この後はあっという間だった。ベビーカーから5mほど離れた場所まで歩いては戻りを繰り返し、ハトを見つけて追いかけ回し、広場を縦横無尽に歩き回っていた。一歩目が踏み出せるようになってから10分もしなかった。

この変わり様を見た時、何かをきっかけに自信を持ち、どんどん変わっていく人の成長をリアルタイムで見た気がした。きっかけになったのは、子供が歩くまで粘ってあれこれ試した僕の行動だと心の中で自画自賛した。

子供の成長は本当に早い。僕が何かをしてあげようとする間も無く、どんどん成長していく。一方で、何もせずに成長を待っていたら、野生児ができあがってしまう。方向性は示しつつも、好きなように子供のペースで成長してもらう。その加減を見極めようとしているけど、何が正しいのか全くわからない。今回のように、自信を持つまで待っていることも大切だろう。成長するきっかけや環境を作り、子供の足を引っ張らない親になりたいと、改めて思った出来事だった。

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